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江戸川乱歩  漫画全般


● 江戸川乱歩

No.02 乱歩の翻案作品

別段今になって判明したことではないのですが、「江戸川乱歩著作目録」の補足をかねて乱歩の翻案作品をここに取りまとめておきます。( 01/04/21 )

『白髪鬼』(昭和 6年)…………黒岩涙香『白髪鬼』(マリー・コレリ『ヴェンデッタ』)の翻案
『緑衣の鬼』(昭和11年)………イーデン・フィルポッツ『赤毛のレドメイン家』の翻案
『幽霊塔』(昭和12年)…………黒岩涙香『幽霊塔』(A・M・ウィリアムソン『灰色の女』)の翻案
『幽鬼の塔』(昭和14年)………ジョルジュ・シムノン『聖フォリアン寺院の首吊男』の翻案
『三角館の恐怖』(昭和26年)…ロジャー・スカーレット『エンジェル家の殺人』の翻案


No.01 その表現力からくる『芋虫』の怖さ

この怪奇小説といっていい作品は何度も読んでいる。よって、ストーリーも結末も知っている。しかるに何度読んでもやっぱり怖い。ストーリーや結末がわかっていながら、これほどまでに読むものを怖がらせる怪奇小説がほかにあるだろうか。
それはひとつに乱歩の文章のうまさからくるものであろう。乱歩の文章はわかりやすく、その技巧ゆえに幼稚な印象を与えがちだが、乱歩という巨人は決してそうした安易な評価で括られるものではない。むしろ文章のわかりやすさは映像表現に通ずるものとして、稀有なる才能と評価されるべきなのである。乱歩の作品からは、どれもありありと映像が浮かぶ。それゆえ頭に入りやすく、文章として読むことがまったく苦にならないのである。おそらく大正から昭和初期にかけて同時代を生きた小説家の誰よりも乱歩の文章は理解しやすく、読みやすいのではないかと思う。そして、その読みやすさから、ついつい何度でも読めてしまう。短編の本作などはなおさらである。
また本作の怖さは、そうした文章のうまさとあいまって、人間の業のようなものが巧みに表現されているところからくるものだ。だからストーリーがわかっていても、怖いのである。古さもまったく感じさせない。( 00/11/16 )


● 漫画全般

No.01 2005年物故者

漫画家の岡田史子(おかだ・ふみこ)さんが 4月 3日、心不全のため死去。55歳だった。( 4/ 9 読売新聞夕刊より)
高校在学中の1967年、手塚治虫主宰の漫画誌「COM」でデビュー。詩的な作風で天才と評され、少女漫画界に大きな影響を与えた。代表作に「ガラス玉」「ピグマリオン」など。近年は筆を断っていた。

漫画家の永島慎二(ながしま・しんじ)氏が 6月10日、心不全のため死去。67歳だった。( 7/ 6 読売新聞朝刊より)
東京生まれ。1952年、15歳の時「さんしょのピリちゃん」でデビュー。61年から貸本劇画に連載した「漫画家残酷物語」は、子供漫画への理想と現実との間で苦悶する青春群像を描き、今なおファンが多い。その後、新宿で2年にわたるフーテン体験を基にした連作「フーテン」を手塚治虫主宰の「COM」誌に連載。同時に「ガロ」誌でも活躍して、郷愁とペーソスに満ちた"人生派"漫画を開拓、後進の漫画家に絶大な影響を与えた。( 06/ 1/ 1 )



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